横浜港の赤潮発生予測について
米本豊
下水道局と環境創造局に40年従事後退職
横浜国立大学卒
横浜市在住
近年の東京湾の赤潮発生回数は減少傾向にあるが、東京湾内湾ではやや低下傾向が見られる程度の状況となっている。横浜港も同様に俯瞰すると赤潮発生回数の低下が停滞している。これらを、図―1に示す。高度成長時期に水質悪化によって東京湾のアオギスが絶滅したが、近年でも赤潮発生による魚の鰓への付着や溶存酸素不足が起こる。また、引き続き起こる場合がある青潮の影響でも、移動速度の遅い底生動物の絶滅等が危惧される。高度成長期時期では、この原因が生活排水や工場排水に起因していたが、現在は下水処理場の普及が進み水質が良くなった。しかし、逆に普及率が高くなったため、東京湾への下水処理排水の負荷の占める割合が大きくなった。赤潮発生は、負荷の他に入れ替えにくさや、ヘドロの影響等が要因と考えられるが、どの要因も、解決するには、膨大な費用が掛かると思われる。赤潮の解決法としては幾つかあり、実施している場所もあるが、広範囲での実績は無く、容易では無いと思われる。 今回、今までの気象衛星により測定したクロロフィルのデータから、クロロフィル濃度の簡単な予測式を推定して、予測から、赤潮発生を減少させる対処を行う方法を提案したい。また、赤潮発生では、必要最低濃度が、りん0.01(mg/l)、窒素0.07(mg/l)1)以上と考えられる報告もあるので、りんによって制御されると考えられるため、りんの処理を中心に報告する。過去に行った疑似嫌気好気のテーブル実験から、窒素除去の兼ね合いもあるので検討の結果によるが、まだ、生物学的にりんの処理をより良化するやり方が考えられる。そこで、試す価値があると思われるのでテーブル実験等での確認を提案する。そして、第58回下水道研究発表会「横浜港の赤潮発生」では分かりにくかった水温と大岡川の赤潮発生の関係を新しく図示し、若干ではあるが、知見を得られたので報告する。